自分の歴史について、歴史民俗資料館で考えてみた。

令和3年度名取市協働提案事業「地域ライター講座」受講生の皆さんが、講座を通じて実際に取材し作成した記事を掲載しています。
受講生の目を通じて見て聞いた”なとりの魅力”をぜひお読みください。
自分の歴史について、歴史民俗資料館で考えてみた。
ライター:佐々木 翼
普段暮らしているまちのこと、あなたはどれくらい知っていますか?
自分のまちのこれまでが知りたくなった時、どこに行けばいいのでしょうか。
名取には「名取市歴史民俗資料館」という、2020年5月に開館したばかりの新しい博物館があります。
2018年まで図書館だった施設を再整備し、歴史文化の保存・活用の拠点として生まれ変わりました。
この博物館を通して、歴史の一端に触れてみませんか。
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歴史的物品の並ぶ展示室 |
名取市歴史民俗資料館とは
この施設は、3つの部屋とひろばによって構成されています。
旧石器時代〜奈良・平安時代を取り扱う「考古の展示室」、中世から近代を取り扱う「歴史・民俗の展示室」、そして、工夫を凝らした体験イベントに参加できる「体験学習室」です。
展示室内には、東北最大の古墳である「雷神山古墳」の迫力いっぱいの模型や、発掘された土器、市民から寄贈された貴重な民俗資料などが並びます。
無形文化財に指定された神楽を映像資料として見ることもできますし、藍染体験や埴輪づくり体験ができるイベントはリピーターも多いそうです。
コンパクトにまとまった安心感のある施設で、長大な歴史にゆったりと思いを馳せることができます。
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埴輪づくり体験で生まれた埴輪たち |
いくつもの困難をこえて
名取市は、この資料館の開館以前から各所で市の歴史文化を保存し、発信してきました。
多くの史跡を有する名取市ですが、それらをまとめた博物館はそれまでなく、書籍で学ぶか、期間限定の展示を見るか、史跡に直接足を運ぶことでしか、地域の歴史を学べなかったのです。
このため、歴史文化についての展示施設は長らく心待ちにされていました。
文化施設の新設には、多くの困難が伴います。
しかも近年は、災害や様々な社会課題への対応もあり、並行して進めるには予算も推進力も足りない状態でした。
しかし、図書館の移転が決まったことで、カナダからの支援によって作られた綺麗な施設をいかに再利用するかが検討され始めました。
長い間保留されていた博物館計画がついに動き始めたのです。
こうしてオープンした待望の資料館ですが、元々は図書館のため、資料の保存や展示を考慮された建物にはなっていません。
そのため、気温や湿度の調整にかなり気を配っているほか、元の柱や壁の位置を活かした順路にしたり、展示物をより近くで見られるようにするなど、細部まで工夫を凝らして展示を行っています。
これらの努力が実を結び、開館一年ほどで来場者が1万人を突破し、史跡をめぐるバスツアーは満員御礼。
取材を行った際も、来場者が熱心に資料を鑑賞する姿がありました。
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建物の外には古墳を模した広場があります。 |
私はどこから来たのか、私は何者か、私はどこへ向かうのか。
私は名取で生まれ育ち、大学卒業後は東京で働いていましたが、2021の春に地元名取へと戻ってきました。
これからこの地でどんな未来を描いていこうかと考えたとき、同時に、これまでの自分についても思いを巡らせていたように思います。
そんな時、自分が生まれ育ち、そして今現在暮らしているこのまちは私を構成する主要素だと感じ、より深く知りたくなりました。
名取市歴史民俗資料館は、そんな思考の旅の手がかりになる場所でした。
この地に暮らす自分のこれまでを振り返り、これからを想像する。
名取の歴史を通じて、自身の歴史についても考える契機としてみてはどうでしょうか。
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ひっそりと佇む、心惹かれる遊具も。 |
【名取市歴史民俗資料館ホームページ】
〒981-1292 名取市増田字柳田80 本庁舎3階
部署名:なとりの魅力創生課
電話:022-384-2111
ダイヤルイン番号: 022-724-71 82