深めよう!那智が丘11

第1回 5月20日(木) 
講師 : 奈止里写歩会・代表 名取市郷土史研究会 小野 友和氏
内容 : 開講式・講話「蝦夷国と名取群」について
    ~古代、エミシは名取郡以北に住んでいた~
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 講師は、奈止里写歩会代表で名取市郷土史研究会に所属されている小野友和氏に依頼しました。今回は古の名取をキーワードに蝦夷(エミシ)まで遡り盛りだくさんの資料の準備と丁寧な説明をしていただきました。
東北地方に住んでいる受講生にとって、蝦夷(エミシ)は遠い先祖のように感じることがあり、身近で興味深いテーマで、そもそも、蝦夷(エミシ)とは何者か、アイヌのことなのか、縄文人そのままの自然人なのか野蛮人なのか、生活文化はどうだったのか、その問いに答える形で諸説のぶつかりを説明していただいたことで、歴史をどのように捉えるかのヒントになり、より一層歴史ロマンをかきたてられたのではないかと感じました。
また、この講座は、歴史に興味を持つ受講生同士が歴史ロマンを語り合う場にもなっており、諸説ある歴史解釈をめぐって受講生同士が意見交わすのを聴くのも楽しい講座風景のひとつです。次回の講座が楽しみですという声を聞くこともでき、有意義な講座となりました。
第2回 6月17日(木) 
講師 : 二つの名取を結ぶ会代表 大橋 信彦氏
内容 : 講話「伊予の名取をご存知ですか」
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 講師は、二つの名取を結ぶ会代表・大橋信彦氏に依頼しました。私達が住んでいる名取市と同じ地名をもつ地区が四国・愛媛県の佐田岬半島にあるということを知っている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。地名の由来、どのような地域なのか、最近の交流など、「二つの名取を結ぶ会」の立ち上げに携わり、現地に一カ月以上滞在して住民の方と絆を深めてこられた実体験をもとに丁寧にしかも熱意を込めて説明していただきました。
実は、伊予の名取の皆さんはずっと宮城の名取に思いを抱き続け、東日本大震災で大きな被害を受けたことに心を痛めて、「先祖の地が大変なことになった。なんとかせないかん」と話し合って募金活動をし、2度にわたって名取市に義援金を送ってくださいました。伊予の名取の皆さんの思いに深い感銘を受けたと紹介があり、受講生の皆さんも同じ思いを共有したと思われます。
2016年には、二つの名取を結ぶ会の有志がクロマツの苗木の植樹活動を行い、現地にしっかり根付き「縁結びの松」として成長しています。更に、交流は若い世代にも拡がり、2017年2月に尚絅学院大学の学生と先生計11人が伊予の名取を訪れ、ずんだ餅など宮城の郷土料理を作ったり、石垣の里の名を持つ集落の石垣を掃除して交流を深め確かな信頼関係を築きました。
講座は、講師の「地域を知り、地域の人となれ」の言葉で締め括られました。
第3回 9月16日(木) 移動研修 
講師 : 東北歴史博物館 技師 相澤 秀太郎氏
内容 : 移動研修「東北歴史博物館」見学
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 今年度の移動研修は、多賀城市にある東北歴史博物館見学を実施しました。また、第1回目の講座で「蝦夷国と名取郡」につい学習したことから、蝦夷についてより知識を深めるため、専門家の見解・説明を聞く特別講座を設けていただけないかと交渉し、快く協力をいただくことができました。講師は、蝦夷研究に20年以上携わっておられる東北歴史博物館・技師の相澤秀太郎氏、テーマは「古代の蝦夷について」です。
当日は、館内見学に先立ち、研修室において講師・相澤氏による「古代の蝦夷について」の特別講義を開催しました。相澤氏は、蝦夷研究に対し並々ならぬ熱意をお持ちの方で、歴史ロマン、歴史の面白さというものが全身に表れていて、説明内容、提示資料すべてが、聴講している受講生を蝦夷の国に引きずり込んでいくというような様子が感じられました。受講された方からは、「東北に住む私たちにとって、とても有益な話しで、東北人として自信を持つことができる内容でした。東北人としての『プライド』が蘇りました」という感想がありました。そして、研修後受講生のお一人からメールで感想が送られてきました。そのメールでは、「数千年・数万年の日本の歴史を30分足らずでお話しいただくのはあまりにも足りない。来年度の講座企画に相澤氏の講義を採択していただきたい」との要望と、第1回目の講義で知った「中華思想」が蝦夷のベースであったことを受け、ご自身が調べた中華思想に関する付加価値情報を提供していただきました。