深めよう!那智が丘12

第1回 7月2日(土) 
講師 : 宮城県教育庁文化財課 技師 相澤 秀太郎 氏
内容 : 開講式・講話「古代蝦夷の研究について」


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 講師は、宮城県教育庁文化財課技師の相澤秀太郎氏に依頼しました。相澤氏は、昨年度まで東北歴史博物館技師として自らの古代史研究成果を企画展や講座・教室などで説明されていた方で、昨年度の「深めよう!那智が丘11」の移動研修の中で30分程度の特別講義をしていただきました。その講義に対し、受講生から「来年もう一度詳しくお話を聴きたい」という声や「中華思想に関するテーマを取り上げて欲しい」など、再登場を希望する声に応えるため、相澤氏に2回の講座講師を依頼することになり、1回目の今回は「古代蝦夷の研究」について、深く突っ込んだ説明をしていただきました。
 イントロダクションとして蝦夷(エミシ)とは何者なのか、蝦夷の衣食住はどんなものだったのか、そして蝦夷はどこに住んでいたのかなど遺跡から発掘された出土品の写真を紹介しながら概観説明し、次に蝦夷と律令国家との軋轢を取り上げ、城柵が造られた背景に迫り、今回の主題である「蝦夷はどのように支配されたのか」について研究を踏まえた説明をしていただきました。
 古代に関心を持つ方なら素朴な疑問として挙がる「蝦夷はアイヌなのか」ということについての解説、これも専門家により諸説があり、何を前提に捉えるかにより位置づけが違ってくるとの説明がありました。例えば、戦前の説では人種論として捉えたのに対し、戦後は人種論ではなく歴史的概念として考えるようになり、現在は「古代国家論からの位置づけ」と「文化・生業・言語などからの実態解明」の2つの潮流で捉えられているとの紹介がありました。
 最後に、古代国家の東北辺境支配という観点で、国府多賀城など現在の「郡」につながる城柵設置、貢ぎものの進上(朝貢)とそれに対する恩恵の下賜(饗給)などの解説があり、そして、2回目の中華思想は「面白いですよ」「現在の中国やロシアを知る上でも重要ですよ」と、期待が膨らむお話で締め括られました。

第2回 9月3日(土)  
講師 : 宮城県教育庁文化財課 技師 相澤 秀太郎 氏
内容 : 講話「中華思想と古代日本について」
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 第2回のテーマは「中華思想と古代日本」。講座資料のサブタイトルには「エミシを生み出した中華思想とは」とあり、東北人の心のに迫ってくる内容となりました。中華思想とは、中華と夷狄(いてき)を区別する思想であるとの説明に、受講生からは現在の世界情勢を理解するうえで、大変興味深く感じたとの意見がありました。
第3回 9月15日(木) 
講師 : 及川 昌幸 氏
内容 : 「二至二分の僥倖の地の奈止里を21世紀に生かそう」
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 第3回は、山形県上山市方面への移動研修を予定していましたが、コロナウイルス感染症拡大のため中止とし、講義を行いました。
 講師は、受講生のお一人で、郷土史研究家であり名取市郷土史研究会員の及川昌幸氏にお願いしました。及川氏は、古文書や書類だけにとどまらず、むしろ史跡や現地を訪ね歩き徹底的に検証する「実証見聞」による研究スタイルで歴史ロマンを追求されている方で、今回はその研究成果をご紹介いただきました。