○名取市手話言語条例

令和3年12月22日

名取市条例第30号

手話は、音声言語とは異なり、物の名称や自らの意思を手指や身体の動き、表情により視覚的に表現する言語である。

これまで、手話に対する理解が得られてこなかったことや、手話を使用することができる社会環境が整備されてこなかったこと等から、ろう者は不便を感じながら暮らしてきた。

こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語として位置付けられ、手話を広く普及し、手話による意思疎通をしやすい社会環境の整備を図ることが求められている。

ここに、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及等に関する施策を推進し、手話に対する市民一人一人の理解を深め、手話を広く普及し、ろう者が手話を使用して暮らしやすい地域社会を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び手話の普及等に関し、基本理念を定め、市、市民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、市が推進する施策の基本的な事項を定めることにより、市民等に手話及びろう者に対する理解を広め、並びにろう者が手話を使用しやすい環境をつくり、もってろう者が手話を使用して暮らしやすい地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ろう者 聴覚障害者のうち、手話を使用して日常生活又は社会生活を営むものをいう。

(2) 手話の普及等 言語としての手話の認識の普及、手話を学ぶ機会の確保その他の手話を使用しやすい環境の整備をいう。

(3) 手話通訳者 ろう者及びろう者以外の者との間で円滑に意思疎通を図ることができるよう、手話により支援を行う者をいう。

(基本理念)

第3条 手話の普及等は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 手話が独自の体系を有する言語であって、ろう者が心豊かな社会生活を営むために大切に受け継いできた文化的所産であるとの認識の下に行うこと。

(2) 手話は、ろう者にとって、情報の取得、意思の表示及び他者との意思疎通を図る手段として必要な言語であるとの認識の下に行うこと。

(3) ろう者が手話により意思疎通を行う権利を有し、当該権利は尊重されなければならないこと。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話の普及等に関する必要な施策を推進するものとする。

(市民等の責務)

第5条 市民等は、基本理念にのっとり、市が推進する手話の普及等に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、市が推進する手話の普及等に関する施策に協力するとともに、ろう者が利用しやすいサービスを提供するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 手話に対する理解の促進に関する施策

(2) 手話による意思疎通の支援に関する施策

(3) 手話を学ぶ機会の確保に関する施策

(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

(手話通訳者等の育成)

第8条 市は、ろう者及び手話通訳者と協力して、手話通訳者その他手話を使用することができる者の育成に努めるものとする。

(財政措置)

第9条 市は、手話の普及等に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

この条例は、令和4年1月1日から施行する。

名取市手話言語条例

令和3年12月22日 条例第30号

(令和4年1月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第7節 障害者福祉
沿革情報
令和3年12月22日 条例第30号