那智が丘周辺の花々
那智が丘周辺で見られる植物を、季節ごとに写真とエッセイで紹介しています。
公民館付近を散策される際は、ぜひ探してみてくださいね。
【協力:なおかつフォトエッセイ】
那智が丘にお住いのご夫婦「なお・かつ」さんが、お二人で創られたフォトエッセイです。
●かつさん(ご主人)
>>ウォーキングを楽しみながら、早朝の光の中、優しく浮かび上がる草花や自然の 生き物たちを撮影しています。
●なおさん(奥様)
>>かつさんの写真に、日々、感じたこと(呟き)から生まれたエッセイを付けてい らっしゃいます。
1.洋種山牛蒡 |
9.紅葉白熊 |
2.深山鶉 |
10.段菊 |
3.岨菜 |
11.仙台塔飛廉 |
4.紅花襤褸菊 |
12.天人草 |
5.薄 |
13.竜胆 |
6.長葉の高野箒 |
14.白花栴檀草 |
7.雁首草 |
15.薬師草 |
8.釣鐘人参 |
2022年 秋の花々
1.洋種山牛蒡(ようしゅやまごぼう)

洋種山牛蒡(ようしゅやまごぼう)/花言葉:野生・元気
日本へは明治時代のはじめに渡来し野生化しました。 根が牛蒡(ゴボウ)に似ているというので山牛蒡(ヤマゴボウ)で、西洋のものなので洋種山牛蒡と名づけられました。
別名をアメリカ山牛蒡(アメリカヤマゴボウ)。秋、まるでぶどうのような果実の穂ができます。見た目は美味しそうですが有毒で食べられません。鳥は好むようで、タネは鳥によってあちこちに運ばれていきます。果実をつぶすと、赤紫色の汁が採れ、染料としても使われます。
2.深山鶉(みやまうずら)

深山鶉(みやまうずら) /花言葉:ー
大きな特徴は、葉っぱの模様にあります。緑色の葉っぱに白い斑模があり、鶉(うずら)の羽の模様によく似ていることから「ミヤマウズラ」という名前が付けられました。この葉っぱの斑模様は個体によってそれぞれ違っていて、江戸時代後期ごろからこの模様がとくにきれいなものを「錦蘭」と呼んでいます。開花時期は8月~9月ごろで、花は長く伸びた花茎の上の方に7~15個ほどの花が花茎の片側だけに咲きます。花の色は白から薄ピンク色で、花の形は翼を広げた鳥のように見えます。正面から見ると花の上の方に目のような茶色っぽい丸い斑点が2個並んでいるのが特徴です。
3.岨菜(そばな)

岨菜(そばな) /花言葉:清らかな愛
野山に咲く高山植物の一種である岨菜は、まるで釣り鐘が成っているような可愛い花を咲かせます。また、見た目の美しさだけではなく実用性の高い植物でもあります。また、険しい山道のことを「岨道(そばみち)」と呼んでいて、その斜面に多く生える草花なので「岨菜(そばな)」となったという説があります。他にも、木こりなど山奥に接する人々のことを「杣人(そまびと)」と呼び、そのような人達が立ち入る場所に多く生えているので「杣菜(そばな)」の名になったという説もあります。
4.紅花襤褸菊(べにばなぼろぎく)

紅花襤褸菊(べにばなぼろぎく)/花言葉:大切なのは外見より中身
ひょろりとした柔らかな草、原産地はアフリカで南洋方面に帰化しています。日本では第二次大戦後の帰化植物として知られ、意外に山間部に多く特に森林が伐採された際などに一斉に出現しパイオニア植物としての姿を見せています。花は菊のようにならず筒状の頭状花序は管状花をそろえて束ねたたような形で、先端だけが赤っぽくなります。日本では家畜の餌として利用している例もり、国外では野菜として利用される例もあります。
5.薄(すすき)

薄(すすき)/花言葉:生命力
日本人なら知らない人はいないほど身近な植物の一つです。秋のどこか物寂しいイメージとして、多くの方が野原に群生する黄金色のすすきを連想するのではないでしょうか。十五夜にすすきを飾る理由は、月の満ち欠けなどを用いて暦を計算した旧暦では、人々の生活と月は密接につながっていました。特に農作業に従事する人々は欠けたところのない満月を豊穣の象徴とし、秋の収穫の感謝を込めて芋や豆などの収穫物を月に供えました。しかし、稲穂はまだ穂が実る前の時期であることから、穂の出たすすきを稲穂に見立てて飾ったと言われています。お月見のすすきには悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。
6.長葉の高野箒(ながはのこうやぼうき)

長葉の高野箒(ながはのこうやぼうき)/花言葉:働き者
名前は、和歌山の高野山で本種の幹や枝を束にして箒を作ったことに由来し皇室の伝統にちなんだタマボウキという別名もあります。この箒(タマボウキ)は、大伴家持が万葉集で詠じたほど由緒あるもので中国の伝統に倣って正月の始めに天皇が朝臣に玉を飾って下賜しました。正倉院にも「子日目利箒(ねのひのめどのははき)」。また高野山でこれを箒に用いたのは開祖の弘法大使(空海)の教えによって果樹や竹など商品価値のある植物を植えることが禁じられていたことによります。地味な花だが生け花では秋山の寂寥感を表すモチーフに使われイチモンジセセリという蝶の一種はこれに集まる。
7.雁首草(がんくびそう)

雁首草(がんくびそう)/花言葉:けなげ
雁首とは煙管(きせる、時代劇に出てくる和製パイプ)の先端部分のことで、花がくいっとやや下向きに曲がって咲く姿が喩えられました。種子のように見えるそれぞれが痩果(そうか)は意外にもべたべたしていて、動物の体や人の衣服に付着するひっつき虫となります。
8.釣鐘人参(つりがねにんじん)

釣鐘人参(つりがねにんじん)/花言葉:誠実・感謝
風鈴や釣鐘のようなかわいらしい花を咲かせます。この花姿が、名前の由来となっています。淡い紫の花や青の花色も相まってどこか儚げな印象を受けます。和名の由来は、花が釣鐘状で、根が朝鮮人参に似ているところからきています。
春の若芽は山菜として親しまれています。 滋養強壮のある山菜として昔から食用に用いられています。かぜに効くイヌリン等を含む根や若葉は、下処理を済ませることでえぐみが抜け、さっぱり味わいを堪能できます。和え物やおひたしにして食べるのがおすすめです。
9.紅葉白熊(もみじはぐま)

紅葉白熊(もみじはぐま)/花言葉:働き者
白熊とは中国産の「ヤク」という動物の白い尾。毛を染めて武将の采配、僧侶の払子(ほっす)旗や槍の装飾として使われました。ヤクの尾毛は日本では兜や槍につける装飾品として武士階級に愛好され、尾毛をあしらった兜は輸入先の国名を採って「唐の頭」と呼ばれました。特に徳川家康が「家康に過ぎたるものが二つあり、唐の頭に本多平八」と詠われたほど好んだ為に
江戸時代に入って鎖国が行われてからも清経由で定期的な輸入が行われ幕末になって江戸城が新政府軍に接収された際、収蔵されていたヤクの尾毛は 黒毛が薩摩藩、白毛が長州藩、赤毛が土佐藩の手に渡り三藩の指揮官クラスの軍帽として使用されました。黒毛の軍帽を黒熊(こぐま)白毛の軍帽を白熊(はぐま)赤毛の軍帽を赤熊(しゃぐま)と呼びます。キク科の植物の中で、この形をした花に「ハグマ」の名がついています。
10.段菊(だんぎく)

段菊(だんぎく)/花言葉:悩み・忘れ得ぬ思い
まっすぐ伸びた茎に、段々に花がつく印象的なダンギクは、楚々とした雰囲気を感じさせてくれる花です。江戸時代から、園芸植物として親しまれてきたダンギクは、もともと海に近く、日当たりのよい岩山の崖や急斜面に自生する多年草。冬は根から上が枯れますが、翌年また残った部分から芽を出し成長するという強い花です。
11.仙台塔飛廉(せんだいとうひれん)
12.天人草(てんにんそう)

天人草(てんにんそう)/花言葉:美麗
名前の由来は穂状の蕾を天人に見立てて、この名になったそうです。また下の方から咲きあがるにつれ鱗状の苞が一間一枚落ちて行く様を天上界の霊妙な花にたとえ、花自体を天井に舞い上って行く天人に例えたともいわれます。
13.竜胆(りんどう)

竜胆(りんどう)/花言葉:貴方の悲しみに寄り添う
日本だけでなく中国原産でもあります。そのため、漢名というものが存在します。リンドウ(竜胆)の漢名は「竜胆」、竜に肝(胆)と書きます。リンドウ(竜胆)は中国でも漢方薬として伝わっていました。しかし、この味がとても苦く人々に受け入れられなかったのです。どれほど苦いか、というのを表現するために「竜の肝の様に苦い」と例えたことから「竜胆」と書くようになったのです。どの時代、国でも花は薬に使われますが、良薬は口に苦しも共通だったのですね。
14.白花栴檀草(しろばなせんだんぐさ)

白花栴檀草(しろばなせんだんくさ)/花言葉:不器用な
夏から晩秋にかけて小さな白花を咲かせる道ばたや空き地で見かける雑草です。コセンダングサ(栴檀草)の変種で棘のある痩果(タネ)が衣服に刺さったりするので「ひっつき虫」「バカ」などとも呼ばれるようです。