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〈県指定〉有形文化財 建造物
名取熊野三山の一つである熊野神社(旧新宮社)の本殿は、江戸時代の初め頃に建てられたと考えられる建造物で、熊野信仰との関係が深い建築様式で建てられていることもあり、建築学的に見ても貴重なものであるとのことから宮城県の指定文化財となっています。
熊野神社本殿(奥の院)は、拝殿(はいでん)の北側に南面して建っている3棟の建物で、中央に証誠殿(しょうじょうでん)、向かって右側(東側)に那智飛龍権現社(なちひりゅうごんげんしゃ)、左側(西側)に十二社権現社(じゅうにしゃごんげんしゃ)があります。
いずれも素木(しらき)造りの建物で、屋根は「こけら葺」です。証誠殿と那智飛龍権現社は一間四方の社で、熊野造りと呼ばれる熊野信仰関係の神社に見られる様式で造られた県内唯一の建造物です。また、十二社権現社は桁行(けたゆき)三間・梁行(はりゆき)一間の規模を有し、流(ながれ)造と呼ばれる建築様式で建てられています。
なお、十二社権現社の西隣には、名取熊野三山の勧請伝承(かんじょうでんしょう)にかかわる名取老女を祀(まつ)った老女の宮(1棟)が鎮座(ちんざ)しています。
名取市高舘熊野堂字岩口上51