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(市指定)記念物 天然記念物
江戸時代の終わりから明治にかけて、名取郡増田北町の肝入検断をつとめた菊池善蔵氏邸内(旧増田公民館跡地)の庭に繁茂していた古木の中に、樹齢数百年と思われる大傘の松(アカマツ)があり、明治9年6月の明治天皇東北ご巡幸の折り、善蔵氏はその松の近くに新たな小休所を設け、天皇御一行の行在所(あんざいしょ)に充てました。そこでの御休息の際、随行者の木戸(きど)孝允(たかよし)が前庭の笠形の老松を見ながら「大君の立寄りまし陰なれば、衣笠の松とこそいうなかりけれ」と和歌を詠んだことにより、"衣笠の松"と命名されました。
この時の御膳水は、菊池家と同族で隣家の荘司邸の井戸水を使用し、天皇はこの真清水の味を大変喜び、金帛(きんはく)を賜ったと伝えられ、また、この時お供した東久世伯爵は「ふたたびも 君にすすめし かけ清み 古井の水のむかしおもゆる」と歌を詠んだとされています。
現在その井戸(一辺が109cmの方形で,地上からの高さ62cmの石製井戸枠)は、代々荘司家の手厚い保護のもと、絶えることなく湧水する真清水と共に、大切に保存されています。
所在地=名取市増田二丁目2-1