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(有形文化財)美術工芸品
この太鼓は、熊野神社(旧新宮社)に伝わる熊野堂神楽と熊野堂舞楽の伴奏楽器として使用されているものです。
鋲(びょう)打ち丸太鼓の変形で、革張両面の幅が異なる「いびつ太鼓」と言われる珍しい形をしています。胴の長さは62cm、皮張両面の幅が76~78cmのもので、用材には桐(きり)材を用いています。
太鼓内部は、修理するたびに年号・修理者などが墨書(ぼくしょ)されたようで、薄くなった上にさらに墨書されているものも見受けられます。その中で年号が明確なものが10件、不明なものが9件あり、少なくとも今日まで19回は修理されたことが確認できます。革張替え修理の間隔や確認される年号から、この太鼓が作られたのは、江戸時代の寛永年間(1624~1644)以前であると推定されます。なお、太鼓が奉納された経緯などについては、わかっていません。