ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 文化財について > 新宮寺一切経

本文

新宮寺一切経

更新日:2024年1月10日更新 印刷ページ表示

《国指定》昭和62年6月6日指定 有形文化財 美術工芸品
(市指定)昭和47年12月15日指定

 一切経は仏教聖典を総称したもので、別名大蔵経(たいぞうきょう)とも呼ばれ、全部で5,000巻余りと言われています。
現在、熊野神社(旧新宮社)境内の入口脇に建つ新宮寺文殊堂(江戸時代以前は、境内の鐘撞(かねつき)堂付近に建っていたと伝えられています。)には、写経された一切経が3,000巻(国指定2,568巻、市指定411巻)余り伝わっています。これほど多くの一切経が遺(のこ)されているのは、岩手県平泉の中尊寺経を除くと東日本では他に例がありません。

 その中には、平安時代後期から末期にかけて写経されたものと、鎌倉時代の安貞(あんてい)3(1229)~寛喜(かんぎ)2(1230)年に集中的に書写されたものがあり、大半のものは後者の時期のものです。その後、鎌倉後期に若干の補写を行い、南北朝の動乱期に大般若経(だいはんにゃきょう)600巻(現在約400巻現存)が写されました。

 一切経の中には、慈恩寺(じおんじ)(山形県寒河江(さがえ)市)や山寺立石寺(りっしゃくじ)(山形市)を中心とする他寺から、欠巻を補うために移入されたものや、他寺の経巻を転写したものをテキストにして写経したことを示すものがあり、他にも経巻中に陸奥国分寺(宮城県仙台市)や「宮城郡塩釜宮辺(塩釜市)」などの寺院名や地名が記されたものもあり、一切経写経事業に由緒のある寺々が参加していたことをうかがわせます。

所在=名取市高舘熊野堂字岩口中35

新宮寺文殊堂
新宮寺文殊堂外観説明板