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元徳の板碑

更新日:2024年1月10日更新 印刷ページ表示

(有形文化財)美術工芸品

元徳の板碑写真

 板碑とは、板状の石に仏を表す梵字や紀年銘・造立趣旨などを刻んだ中世の供養塔の一種です。
名取市上余田字大徳囲の伝八王子屋敷跡に残されている元徳の板碑は、市内に現存する板碑の中でも、特に宗教的・歴史的に重要なものの一つです。
 碑文中の「右為六十六部旦那四十八日念願」や元徳3年(1331)の年号から、一般的に室町時代に始まったとされる、全国六十六ヶ所霊場に書写した法華経を納めに行脚(あんぎゃ)する風習が、すでに南北朝時代に行われていたことがわかるもので、中世の供養のあり方を知る上で重要なものです。
 また、碑文中の「余田政所(まんどころ)」の記述からは、鎌倉時代後半頃の名取郡における統治のあり方がうかがわれます。鎌倉幕府執権(しっけん)の北条氏が所有する所領の管理は、各郡(庄・保)内の村・郷単位に地頭代(給主(きゅうしゅ))を任命し支配をまかせる方式とは別に、直接郡(庄・保)の政所を設置して鎌倉から実務を行う官吏を派遣し、村・郷単位に任命された地頭代(給主)へ鎌倉からの命令を伝達しながら管理する方法があります。後者の方式は、名取郡のように早くから北条氏領となった場所で採用されたと言われており、この板碑は、碑が所在する上余田・下余田付近にそのような政所が設置された可能性を示す貴重なものです。

  • 政所:平安時代中頃から将軍家・摂関家・有力寺社や荘園などに設けられ、それぞれの庶務等を執行する機関のこと。

交通案内

アクセスマップ

  • JR名取駅から約2km
  • バス(なとりん号)